お客様のにぎやかなお話しはいつまでも続き、時々大きな笑い声につつまれています。そのうち誰かが、二人を呼ぶ声がしました。
「さあ、かわいい子供たち、わたしのそばへおいで。いいものをあげよう。」
二人は歓声を上げて、走っていきました。きっと大きな大きなプレゼントに違いないとお兄さんは、思いました。
二人が、大きなテーブルの方へ近づいてみると、呼んでいたのは、紫のガウンのような服を着た白いおひげのおじいさんでした。そばにいたお父さんに、街の教会の二コラス神父様だと云われたので、二人はきちんとご挨拶しました。
「二人とも、クリスマスは楽しいかい?」
ニコラス神父は、長いガウンの袖に手を入れ、ごそごそと何かを探しています。
「はい、とても。」二人は、答えました。
「でも・・・。」妹が言うと、お兄さんがひじでつつきました。
お話しよりもお兄さんは、早く大きなプレゼントが欲しかったのです。
「でも?何かね。」ニコラス神父はは、やさしい目をして妹に尋ねました。
「本当のサンタさんに会ったことがないんです。いつも、プレゼントをくださるのに、 一度もお礼を云ってないの。」
妹の真剣な様子にニコラス神父はうなずいてこう言いました。
「じゃあ、二人とも手をだしてごらん。」
二人は、顔を見合わせて手を出しました。
「世界にはね、サンタさんは大勢いるんだよ。」
そう言いながら、まず妹の小さな手のひらに載せたのは、赤い洋服を着て袋をかついだサンタクロースの人形でした。
「わあ、かわいい。サンタクロースのお人形だわ。」
妹は、大きな目を開いて大喜びです。
「さあ、こんどは、お兄ちゃんだよ。」ニコラス神父が言うと、
「ぼくは、男の子だよ。人形なら妹にあげてください。」と言っておじぎをすると、向こうへ行ってしまいました。
「そうだった。男の子は、人形なんかつまらない・・・か。」
ニコラス神父は、少し笑ってこう言いました。
「おじいさん、あたしサンタさんは、この赤い洋服を着た人だけだと思っていたけど 、 世界中には、他にどんなサンタさんがいるのか教えて。」
妹は、すこしがっかりしているニコラス神父のことには、気が付かずに言いました。
「それじゃあ続けよう・・・・」
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