サンタプレゼントパーク

SANTA CLAUS

世界のサンタと不思議な大冒険です。

   「世界のサンタからのプレゼント」


  「え?」ニコラス神父の声に妹は、聞き返しました。
いったいどうやってプレゼントを配っているというのでしょう。今までは、飛んでいただけなのに・・・。まだ、一度も下に降りていないし、煙突から入ったこともありません。

  「あのー、ニコラス神父様、プレゼントは、届けているの?」

  「もちろんさ、ちゃーんと届けているよ。」

  「でも・・・あたしのお家から、一度も下へ降りていないわよね。サンタクロースだ    って、さっきからずっとソリに乗っているし、袋をかついで屋根から煙突へ入った   ところも見ていないのよ?」

  「ハッハッハッハッハーッ」急に無線が入りました。誰かのご機嫌な笑い声です。

  「コチラ、サンタクロース、オジョウチャン、ドーゾ」
その声は、サンタクロースからでした。

  「はい、ニコラどーぞ。」

  「オウ、ニコラカ。オジョウチャンニ、プレゼントヲ、ドウヤッテトドケテイルカ、キカセ   テヤッテクレナイカ。ドーゾ。」

  「了解。」どうやら妹の声は、サンタクロースにも聞こえていたようでした。

  「どんなふうにプレゼントを届けているかというと、皆それぞれ違うんだよ。でもサ   ンタクロースの煙突のことは、お嬢ちゃんも知っているね。屋根から煙突に入り、   テーブルに置いてある食べ物と飲み物を少しづつ頂戴して一休み。あとは、プレ   ゼントを袋から出してツリーの下や、ベッドのそばの靴下の中や、机の上などに   置いてくるのさ。」

妹は、やっぱり思った通りの届け方だと思い、少し安心しました。

  「でも、他のサンタさんは、どんなふうに届けているの?」

  「例えばね、バレンのプレゼントは、クリスマスの恋人達に心が通じ合うようにハ   ートの矢を放っては、陰から二人の幸せを応援することなんだよ。」

  「プレゼントっておもちゃや、セーターだけじゃないのね。」

  「そう、ステキな場面や場所をプレゼントしたり、時には、お天気だってプレゼント    するんだよ。」

  「へえー、それは誰なの?」

  「お天気は、マロースだよ。ああ見えてもけっこうデリケートなんだよ。木や花や    動物、虫、鳥達、そして人々の為に、お天気のプレゼントを考えているんだよ。」

ニコラス神父が言うと、ファンファーンというクラクションが後ろを走っている冷凍トラックから聞こえました。マロースです。
妹が振り返ると、今度は、ライトをパカパカッとウインクさせています。妹は、手を振って答えました。

  「お天気もプレゼントなのね。そういえば、『ロマンチックなホワイトクリスマスに    なったわねぇ』ってお母さんがうっとりと雪をを見ていたわ。」

  「キミノオトウサンガ、ハジメテオカアサント、デートシタヒニ、トビッキリノユキヲフラ   セテアゲタンダヨ、タシカ、クリスマスイブノヒダッタトオモウヨ。キット、ソノコトヲ、   オモイダシテイルンダネ。」
いきなり無線で、マロースが登場しました。

  「お父さんとお母さんのデートの事まで知っているの?」

  「ソウダヨ!デモ、コイビトタチゼンブノコトハ、ワシノ、シッタコッチャナインダヨ!タ   ダシ、オタガイニ、マジメナキモチノ、コイビトタチノコトハ、ヨークオボエテイルシ、   プレゼントモ、フンパツシテイルンダヨ。」

お父さんとお母さんの若かった頃の写真は、見たことがあったのですが、初めてのデートにマロースがホワイトクリスマスにしてくれたなんて、とてもステキなプレゼント だと妹は、思いました。

  「ノエルは、美しい歌声がプレゼントでね。」
ニコラス神父は、ちょうど横を飛んでいるスクーターのノエルに軽く片手で合図しながら、言いました。

  「勇気を与えたり、ウキウキさせたり、慰めたり、安らぎを与えたり、本当に素晴し  い歌声なんだよ。」

  「ホントにすてきな気分になるわ。」
妹は、ノエルに笑いかけました。ふと、横を見ると、ホウキを持ったベファーナが、座っていました。ピンク色のハンカチでめがねをふいています。

  「少し休むかね。」ニコラが、ベファーナに言いました。

  「ええ、そうしましょう。ずいぶんはりきって飛んだから、のどがかわいてきたみた   いなの。」

  「お嬢ちゃんは、どう? お兄さんも少し休ませないと、くたびれちゃうわね、あん    なに喜んじゃって。」

二人は、バレンとびゅんびゅん飛んでいるお兄さんを見上げながら、クスッと笑いました。
もうじき、山の上に高い塔が見えてくるから、そこで一休みしようということになりました。そこは、スキー場のてっぺんにある真っ白な塔で、下には街がきらきらと広がっています。 
お兄さんと妹は、ファザークリスマスが用意してくれた、おいしいお菓子と、飲み物を飲みました。ロチアは、妹に。そしてキントは、お兄さんに、それぞれキャンディをいくつかくれました。

静かな静かなクリスマス・イヴの夜でした。

 そこは、
スキー場のてっぺんにある真っ白な塔で、
下には街がきらきらと広がっています。
静かな静かなクリスマス・イヴの夜でした。

 
  
 2013.12.24~25発表
クリスマスイブのパーティーで、
女の子が神父様からもらった10人のお人形は、
本当は、世界のサンタさんでした。
今夜のうちに、
世界中にプレゼントを届けなくてはなりません。
女の子とお兄さんも、
世界のサンタさんを助けるために、
一緒に空へ飛び立ちます!
・・・無事にプレゼントは届くのでしょうか?


この物語は、「旭川サンタプレゼントパーク」によるオリジナルストーリーです。
当物語の構成・文章・写真・画像・イラスト等の無断転載及び使用を禁じます。
(1998.3.31作  作者 寿 実氏)

  「クリスマスパーティー」
  「サンタクロースのお人形」
  「マロース、ロチアとべファーナさんは、どんなサンタなの?」
  「マダム・ノエル、ファザークリスマスの次のお人形は・・・・・!」
  「もらった10人のお人形さん」
  「時計が12時になりました・・・」
  「私達は、世界のサンタです。メリークリスマス!」
  「クリスマス・イヴの夜」
  「世界のサンタからのプレゼント」
  「世界中に届くプレゼントの秘密」
  「サンタを信じる子供たち」
  「クリスマスの朝」